「難病、長期慢性疾患、小児慢性疾患の総合対策を求める」
  日本難病・疾病団体協議会
2009年国会請願集会・請願行動

過去最高の91万6000筆に願いを込めて


「難病、長期慢性疾患、小児慢性疾患の総合対策を求める」
2009年国会請願集会、請願行動

〈主催〉 日本難病・疾病団体協議会(JPA)
〈日時〉 2009年6月1日(月) 10:00〜11:00請願集会
                   11:00〜     請願行動
〈場所〉 衆議院第2会館第1会議室
〈署名数〉 約91万6000筆
       
〇全体報告(PDF)》ここからどうぞ
〇難病対策の拡充を求める緊急要望書(PDF)》ここからどうぞ
   
       ご来賓のあいさつ及び患者団体の訴えなど(要約)
(国会議員)
▽津島雄二衆議院議員(自民党)〈自民党難病対策議員連盟会長〉
14兆円という大きな補正予算を決める際に、最後に大きな議題になったのが難病の課題。(医療費助成対象疾患を)11疾患広げることについて、友党の公明党ががんばって政治決着をした。同時に今年度の予算では、76億円に及ぶ対策費を増やして難病の関係の研究をしっかりやることにした。私どもは、難病を抱えておられる方々がどんなに苦労しているか、肌で感じながら、みなさんの声を重く受けとめてこれからも政治をやっていきたいと思う。

▽仙谷由人衆議院議員(民主党)〈医療現場の危機打開と再建をめざす国会議員連盟〉
この10年間で家計所得が平均して100万円ぐらい減っている。こういうときこそ特定疾患や難病で苦しむような人々の医療だけは国が責任を持ってやるという施策を一刻も早くとらないと、家計によって医療に格差が出てくることは受けあい。追加指定は当然だが、まだまだ苦しんでいる患者を思えば予算は全く足りない。われわれは桁が一つ違うと言っている。皆様方がこうやって熱心にやっていることが国会議員を振り向かすことになると確信している。

▽山本博司参議院議員(公明党)〈公明党難病PT事務局次長〉
今回の補正予算の中で29億円という形であるが、11疾患プラスアルファの患者さんに医療費の助成等ができた。公明党は自民党さんも含めて、抜本的解決をしなければいけないと主張した。そうは言ってもまだまだ多くの方々が困っておられるので、公明党としても法整備をすべきと考ている。地元でも、県難病連のみなさんに喝を入れられている。JPAのみなさんが主張されている『難病対策推進基本法』が大事であり、このことに今、全力で取り組もうと考えている。

▽後藤茂之衆議院議員(自民党)〈自由民主党厚生労働部会長〉
高額療養費の議論を承り、与党で現状の負担の問題、保険財政の問題や将来の財源の問題まで含めてもう少し制度を深める議論を行い、今年の年末ぐらいにまとめたいと考えている。考え方の基本は、高齢化や少子化が進む中で社会保障制度が持続可能で安心できる制度でなければならないこと。ただ大事なことは一人ひとりの本当にお困りになっている方に対して目配りをする心の優しい改革でなければならない。財政本位でなく国民本位の姿勢でがんばりたい。

▽岡崎トミ子参議院議員(民主党)〈難病対策推進議員連盟会長〉
患者同士が財政を奪い合うという制度ではダメだ。JPAの「難病医療費助成は保険制度で」という方針を我々は評価している。民主党は総合的な福祉施策の中で障がいの範囲を広くしていくことを提案している。現在の130の難治性疾患全てが障害福祉サービスを受けられるようにしていく。難病の3本柱(医療費助成、福祉サービス、治療研究)の法制化は皆様からお知恵を拝借しながら一緒に作り上げていきたい。医療と福祉に谷間を作らないようがんばりたい。

▽高橋ちづ子衆議院議員(共産党)〈日本共産党厚生労働部会長〉
追加が恒常的に認められること、研究予算は増えたこと自体はいいこと。同時に研究事業で難病対策(医療費助成)をしているしくみは、解決しなければいけない課題。高額療養費の上限を下げること、研究を確実に担保するしくみ、障害者分野で難病者の福祉を支えるなど総合的な研究が必要。今回の補正でもう一つ気になるのが、自治体の超過負担。国が本来やるべきところまでお金を出していないことが自治体に足踏みをさせることになる。

(患者・家族の訴え)
▽下垂体の会
私は先端巨大症患者です。京都在住の派遣社員の37歳です。薬代が年間63万円かかりますが、命を短くしないためには使い続けないといけません。しかし、派遣社員の私の年収は180万円です。ただ人よりめずらしい病気に偶然かかっただけで、なぜ私たちはこのあまりにも重い薬代を一生背負わねばならないのでしょうか。本来なら毎日自己注射をするところ、薬代が高いので1日置きにするしかありません。不安で親元からも独立できません。
今回、下垂体機能障害の難病指定には感謝します。しかし、薬代が高くて困っている患者は他にもいるので、高額療養費制度のシステムを考え直してほしいと思います。

▽CAPS患者・家族の会(クリオピリン関連周期性発熱症候群)
CAPSとは、CINCA症候群、Muckle-Wells症候群、家族性寒冷蕁麻疹という3つの病気が含まれますが、3つをあわせて国内で50名ほどという希少疾患です。乳幼児から発症し毎日高熱を出して強い炎症を繰り返すことで、歩行困難、難聴、弱視などの障害をかかえます。また強い痛みがあり、普通の生活をすることができません。そして、髄膜炎や合併症から幼くして死に到るケースもあります。原因は不明ですが、免疫を過剰に出してしまうので、その免疫を抑える注射を毎日投与することで症状を抑えることがわかりました。
ただ、この薬は日本で認可されておらず個人輸入した場合、体重にもよりますが月に10万円から20万円かかります。これは小さい子どもを持つ家族にとって大きな負担となります。私たち患者会は、この薬が日本でも使えるよう正式に認可されること、そして難治性疾患、特定疾患を目指しておりますので、この病気を知っていただき、ご支援をいただけますようよろしくお願いします。

(行政の発言)
▽厚生労働省疾病対策課岩崎課長
100億円を使った130疾患以外の難治性疾患の公募が終わり、いま審査をしている段階だ。100疾患以上が研究対象になるかと思う。11疾患については、やっと補正が通ったので、事務的にはたいへんスケジュールが厳しいが、今後作業を進めさせていただく。
それからお金の話が出ているが、医療費が高くてみなさんのご負担が多いことは聞いている。これを何とかしなければということで努力がなされて11疾患になったわけだが、私の承知している範囲で希少疾病というのはだいたい5000から7000(疾患)あるといわれている。
これをどうするかという話が先ほどからいわれている。各党の方、反対される方がおられなかったのでたいへん心強いと思うが、これはたいへん大きな話なので、さまざまな議論を据えることだと思っている。
世界的にみても難病は今トレンド。EUではむこう数年間で2億ユーロを研究費に使うことになっている。アメリカのNIHでは、未認定難病を見つけるプロジェクトが始まった。我が国でも100億円を使う。イタリアでは、難病支援ネットワークというものが全国規模で出来ている。これは2008年にすべて起こったことだが、そういう意味では難病に世界的なパワーが集まっている。ぜひみんさんも期待と希望を持って、このような活動を進めていただき、私の方にも教えていただければと思う。

(主催者の発言)
▽日本難病・疾病団体協議会伊藤たてお代表
請願のとき、「難病対策が日本の医療と福祉の現状を照らす。この対策が不十分だと、どんなことをやっても国民にうまく反映されない。この難病対策こそが、日本の医療と福祉を底上げしていくのだ」ということを訴えていただきたいと思う。そのときの具体例として自分の病気の話などもしてはどうか。
請願項目は難病対策を中心に言っているが、これは突破孔として言っているだけで難病対策イコール特定疾患対策ではない。あらゆる慢性の疾患、小児の難病・慢性疾患の対策をここからうちとっていきたいという思いであることをお話いただきたい。
とりわけ、こういった情勢のなかで収入が下がったり、支出が重なっていくなかで医療費の問題は軽視できない。また、医療を受けるだけの問題ではなく、地域格差など問題はいっぱい出ている。地域で専門医の治療が受けられず、他の地域に行かねばならないことが、さらに負担を増大させているなど。地方の議員さんはよくご存知だと思うから訴えてほしい。
それから医療だけで生活していけるわけではない。福祉の支援も必要だし収入も必要。子どもには教育も必要だし、成人すると働く場も必要だ。そういったことも含めた総合対策が必要だと言っていただきたい。とりわけ長期慢性疾患のリハビリの問題、安心して入院できる制度が崩れてしまっていること。さらに療養型病床がなくなっていることも重要な問題。みなさんのお得意分野でお話いただきたい。

○ オブザーバー参加の患者会
・J−LAMの会(リンパ脈管筋種症)
・CTDサポーターズ協議会(マルファン症候群、エーラス・ダンロス症候群を含む結合組織疾患)
・IDDM全国インターネット患者会(1型糖尿病)
・CAPS患者・家族の会(クリオピリン関連周期性発熱症候群)
・中枢性尿崩症の会
・胆道閉鎖症の子どもを守る会
・遠位性ミオパチーの会
・ミオパチー(筋疾患)の会 オリーブ
・日本ダウン症協会
     
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