2011JPA国会請願

   
 主催者あいさつと請願の説明
 
 
伊藤たてお代表 
 今回の署名も難病というだけでなく、長期慢性疾患、小児慢性疾患も含めた総合対策を求める請願書です。また、これらの疾患の医療費助成だけでなくて、研究や福祉的施策も含めた総合的施策の請願だということを、ぜひ訪問先でご説明をお願いします。今回の請願は、内容を厳選して5項目にまとめています。ハンディを病気と障害、あるいは身体の障害、精神の障害と分類する今の制度のあり方が国民のなかに大きな不公平をもたらしているということを基本にしています。そのことを私たちが強く訴えなければなりません。
 それを踏まえて1番は、医療、福祉、年金、介護、就労支援などを含めた総合的な難病対策の実現を急いでということです。つまり病気を持っていても働けることが大切であり、介護が必要であったり、年金の問題も制度の不十分さのなかに置かれているということも含めて、病気だけに 立ち向かうのではなくて、病気に立ち向かうためには生活の安定や介護の問題などが総合的にあるということを訴えていきたいと思います。
 難病対策は、福祉の谷間や社会の谷間にあるとか底辺にあるといった問題ではなくて、私たちが日本の医療と福祉の基盤になっているのだとい うことです。私たちの問題をきちんと捉えて解決していくことが、日本の医療と福祉を向上、発展させることになるのだということです。それを 病気の種類や病名で区別してはいけないのだということをしっかり基盤に据えて、お会いする議員さん等にご説明していただきたいと思います。
 2番目は医療費の問題に限定しております。新聞などマスコミでご存じだと思いますが、現在高額療養費制度の見直しが行われています。まも なくどういった方向になるか明らかになると、昨日民主党の難病対策ワーキングチームの責任者であります谷博之参議院議員からご説明がありま した。非常に収入が少ないなかで医療費が高額になっていることにきちんとメスを入れないと、安心して療養することができません。国民間の不公平をさらに拡大するということを訴えて下さい。
 私たちは「難病患者等の日常生活の福祉ニーズに関するアンケート調査」をしました。いろいろな病気を網羅した全国一斉の生活実態調査委と しては初めてのものです。そのなかで明らかなように、難病といわれる病気に罹っている人たちの年間の本人所得は、30年前とあまり変わりま せん。ところが物価だとか医療費の負担はどんどん上がっています。ここに患者さんの生活の難しさがさらに増大している現象がありますが、それを証明するのがこのアンケート調査なのです。
 後ほど各党にも配ってまいりたいと思いますが、必要があればホームページに載せます、あるいは事務局からCDを送りますと言っていただいてもけっこうです。それを事務局にお伝え下さい。
 このように高額療養費制度を含め、生涯にわたって療養を必要とする人たちの医療費負担は、「生涯にわたってローンを背負っているのと同じことだ」と東大の研究で発表しています。このように、ずっと他の人よりも医療費というローンをかかえて本人も家族も生きて行かなければならない問題だということを訴えていただきたいと思います。
 3番目には、難病や慢性疾患の子どもたちへの医療費助成の拡大です。とりわけ問題になるのは、小児慢性特定疾患治療研究事業の対象患者の方々が、18歳か20歳の誕生日を迎えた日から医療費助成から外れて3割の自己負担になっていくということです。小さいころから病気だった子どもたちが、うれしいはずの20歳の誕生日で医療費が自己負担になります。こうした問題についても、この請願は訴えているわけ です。
 4番目はそれらのことも含めてですが、今回の調査でも分かりましたように、首都圏4県を対象とした国立医療保健科学院の調査とは大きな差が出ています。私どもの調査では、この首都圏4県を外して地域を中心に調査を行ったわけですが、地域のなかではやはり専門医療にかかる機会が非常に少ないです。同じように税金を納めていながら、同じ国に住みながら、地域では専門医にかかることさえ十分にできないという不公平が出ています。それは専門医だけでなく、地域の医療そのものが非常に不公平になっています。地域格差と言われていますが、この(請願書)のなかでは地域不平等と書いてあります。
 今度の災害のなかでも明らかになりましたように、例えば岩手県ではもともと医師が少ないですが、それが災害に遭ってなお一層少ないという 現状にあります。これは国の責任で解消していかなければならない問題だということを訴えいただきたいと思います。
 そして5番目に難病相談支援センターが全国各地に置かれているわけですが、各県の負担が大きいために設置のときはほぼ平等だった支援セン ターも、等道府県の財政、あるいは難病対策などに関する関心の差が大きく出てまいりまして、非常に相談センターの格差が出てきました。なかで働く相談員の方々の待遇にも大きな格差が出ています。これは国が全国の患者さんの悩みや相談に応じるというというのであれば、国が責任をもって難病相談センターの充実を図るべきではないかと、都道府県に押し付けてはいけないというのが、この5番目の課題であります。
 とりわけそれを促進するために、全国難病相談支援センターをきちんと設置して、そこでさまざまな要求、課題をまとめていくという事が大事だと言っているわけです。
 以上5項目の請願です。この数年、国会が途中で解散したりいろいろなことが続いて、せっかくの請願署名がまったく届いていないという実態があります。今年も震災があったりいろいろなことがありますが、なんとかして全国から集まった90万を超える署名が国会に、そして政府に届 くように今日は一所懸命、みなさんの力で議員さんに訴えていただきたいと思います。
 今日は一日、しっかりがんばりましょう。
 

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