緊 急 国 会 内 集 会

主催団体 日本難病・疾病団体協議会(JPA)
名   称  高額療養費の限度額引き下げ 難病対策の抜本改革を! 緊急国会内集会
実施日時  2011年12月19日(月) 10時~11時30分
会   場  衆議院第2議員会館 多目的会議室
要望事項  難病・長期慢性疾患・小児慢性疾患対策予算の確保を!
        高額療養費負担限度額の引き下げで医療費負担の軽減を!
        総合的な難病対策の実現を!
新たな難病対策の見直しの議論が、難病対策委員会にてすすめられています。私たちJPAは、治療研究と医療費の負担軽減のしくみを見なおして、抜本的に制度のしくみを見直すことを提案しています。その大きな柱のひとつに、高額療養費負担限度額の引き下げによって、難治性疾患患者の医療費の負担を大きく軽減させるしくみの実現をめざしています。
現在、医療保険部会および政府与党内で検討が行われていますが、このままでは、昨年と同様に、議論の打ち切りとなりかねません。
高額の薬を生涯にわたって飲み続けなければならない患者にとっては、たとえ画期的な治療法が開発されたとしても、毎月かなりの金額の治療費を払い続けることになり、苦しんでいる患者がたくさんいます。
そこで「来年度予算確保」「高額療養費負担限度額の引き下げによる医療費負担軽減の実現」「総合的な難病対策の実現」をかかげた緊急国会内集会を開きました。
主   旨


1.緊急国会内集会 午前10時~11時30分
(1) 主催者あいさつと請願の説明
(2) 当事者の訴え
(3) 国会議員のあいさつ
(4) 厚生労働省疾病対策課長への要望
(5) 会場からの訴え
(6) 緊急決議

Ⅰ 主催者あいさつ(要約)
日本難病・疾病団体協議会代表理事 伊藤たてお
私たちがお願いしてきた高額療養費限度額の引き下げ、難病対策の抜本改革はいま、さまざまな形で実現されようとしています。それが願いどおりのものなのかまだ足りないのかといった議論はあるかと思いますが、私たちの願いである病気になっても医療費に困ることのない社会をつくるためにがんばってまいりたいと思います。
改革というのは一気になりたたなくてもステップ・バイ・ステップということもありうるわけですから、不十分ながらも前進するということを踏まえ、もっともっと病気になっても医療費に困ることなく、生活に困ることなく暮らしていける社会をお願いしてまいりたいと思います。
難病対策に関しては各党のご理解をいただいております。これを機会にぜひ、難病対策の推進のための超党派の議員連盟が生まれるように、どうぞよろしくお願いします。


Ⅱ 患者・家族の訴え(要約)
岡山県難病連倉敷市難病連絡会事務局長
子どもの慢性疾患と自立を考える会「たんぽぽの会」代表 藤田美子さん
奇しくも難病対策が始まった年に生まれた長男、幸雄39歳の思いを代読させていただきます。
「私は原発性免疫不全症候群で幼小は小児慢性特定疾患治療研究事業の一環で公費で治療を受けていました。しかし、一度は小慢から外れるキャリーオーバーを経験しています。高額な免疫グロブリンの投与を月に2回行うことでかなりの経済的負担となり、低所得だった私には辛い経験でした。治療法が確立されない限り、生涯永続的に続く治療です。(現在は特定疾患による公費治療を受けていますが)今回も「税と社会保障の一体改革」の中で難病対策の見直しも検討されていると聞きます。もし、特定疾患の対象疾患が見直され、また高額な医療費を負担した辛い経験を強いられるかと思うと、今後の通院抑制にならないか心配でなりません。高額療養費制度の見直しも、年収300万円以下の世帯に負担軽減が縮小されたと新聞で拝見しました。毎月のように高額な治療費を負担しなければならない希少難病患者の負担軽減のため、高額療養費制度の負担軽減もすべての所得層において実現していただきたいと切に願います。医療費の負担増は難病患者の生存権にも関わってきます。制度の狭間で苦しんでいる患者のため、より一層の制度の拡充をお願い申し上げます。」
長男は生存していますが、私は(昭和)53年に次男を3歳6カ月でを亡くしています。その後、三男が生まれて、長男と同じ原発免疫不全症候群となり、2人の子どもをかかえています。一応自立はしていますが、親としても切にお願いしたいと思います。


Ⅲ 各党代表・国会議員のあいさつ(要約)
民主党衆議院議員 長妻 昭さん
「社会保障と税の一体改革」は、大よそ2015年の姿を議論するものでありますが、高額療養費につきましては、当初の予定より小幅ながらも来年度からのスタートを目指していく案を決定いたしました。その中身は、年間の上限額を付ける考え方、かつ年収300万円以下の方々に今よりも手厚くということです。詳細は今後議論しますが、半歩の前進ということで、皆さま方から見るともっと前進させよというお声もあるかもしれませんが、半歩ずつ確実に前進していこうと考えております。予算措置は、難病の医療施設の整備とか重症難病患者の拠点施設の整備等は、今年度より増やしていく方向で取り組んでおります。

公明党衆議院議員 古谷範子さん 
今日のテーマであります高額療養費の見直しは、マニフェストにも掲げており党としても非常に優先順位の高い政策でございます。特に収入が210万円から790万円という幅広い層の限度額が8万円であり、ここは細分化して特に低、中所得の自己負担限度額を引き下げるべきだと一貫して主張しております。100円の窓口負担には反対してまいりましたが、財源が付かず高額療養費の見直しが非常に小幅になってしまうのではとう報道がなされております。私たちは一貫して難病の方々、非常に経済的に苦しんでいる方々への支援、高額療養費の見直しをさらに政府に求めてまいりたいと考えております。

民主党衆議院議員  三宅雪子さん
先ほどらいお話がありましたとおり高額療養費の問題は、年収が500万円も違っていても一律に8万円の負担が掛かってしまうのは本当に由々しきことでございます。それから難病指定の問題は、5000ともいわれる難病の中で指定を受けられない方々、本当に数人しかいない難病の方々のことも考えていかなければならないと強く認識しています。まだまだ勉強中ですが、一生懸命がんばっていきたいと思っております。
先ほどからお話がありましたとおり、こうした問題は超党派だと思っております。各党の皆さまと力を合わせて取り組んでいきたいと思います。

社会民主党参議院議員 福島瑞穂さん  
一つは難病対策を患者の支援という形に組み立て、数が増えれば難病から漏れるのではということが起きないようにします。二つ目は患者の支援という立場から高額療養費の引き下げをがんばってまいります。三つ目は、私は長妻さんが厚労大臣のとき、障害者政策大臣で障がい者制度改革推進会議をつくりました。基本法は改正されましたが、総合福祉法、差別禁止法を国会でつくることにも全力を挙げて、良い中身にしたいと思っております。総合福祉法の中に難病をきちんと位置付けるということも大事だと思っています。社民党としても、福島瑞穂としてもがんばり、超党派としても力を合わせたいと思います。

日本共産党参議院議員 田村智子さん 
「税と社会保障の一体改革」で高額療養費の負担軽減、受診時定額負担の財源がどれだけかというと3600億円です。これが出せないというのはおかしいと思っています。民主党に政権交代して事業仕分けを行い、例えばスーパー堤防も廃止と決めましたけど、ついこの間、国土交通省は廃止をしないという結論を出してしまいました。おかしいです。廃止、無駄だと言ったのならきっぱり廃止する。大型の開発に無駄がないかとか、予算措置でどこを優先させるべきかというのは、省庁の壁を超えて考えなければならないと思います。みなさんと一緒にこうした国民的運動を広げて、政治を前に進めるためにがんばります。


民主党衆議院議員 初鹿明博さん
難病が障害者施策の中でしっかりと位置づけされて、谷間が無く必要なサービスがきちんと皆さま行き届くようにしなければならないと思います。自立支援医療の問題では、必要な予算はしっかりと獲得していくのが与党の責任でありますので、その点はご信頼とご安心をいただきたいと思います。来年度から総合福祉法になって障害者の施策もより良くしていく。高額医療費についても少しずつ前進していくというなかで、予算を切り下げることがあってはならないのは、皆さんも十分承知しておられると思いますので、全力でがんばってまいります。どうぞ、皆さまも一緒に戦っていただきますようにお願いいたします。

みんなの党参議院議員 川田龍平さん
難病であっても普通の医療でっても、病院にかかれる患者があたり前に治療が受けられるような制度つくりをしていかなければならないと思っています。さらには、障害者の政策もしっかりとあわせて改革できるようにがんばっていきたいと思っております。難病対策の予算そのものがまだまだ少ないということは、もっと皆さんと一緒に訴えていかなければなりません。国の予算だけでなく地府の予算も含めて、地方のことは地方でできるようにしていかねばなりませんし、そこに不平等があってはなりません。自分たちの社会の仕組みを変えていくために、これからも皆さんと一緒にがんばっていきたいと思っています。


国民新党衆議院議員 下地ミキオさん
もう多くの先生がお話したと思いますが、難病対策の予算をしっかりと確保して、そして十分なるご支援ができるようにがんばっていきたいです。また、新薬を早期に使えるようにすることもしっかりとやっていかないと、根本的な解決にならないと思いますので、一つひとつ要請を聞きながらがんばって努力をしていくことをお約束したいと思います。ありがとうございました。

民主党衆議院議員 玉木朝子さん
高額療養費制度ができたときは、3万円以上かかれば戻すというシンプルな制度でしたが、この20年の間に患者負担が少しずつ増えました。それがやっと見直されるようになりました。今年の4月から高額療養費の窓口負担が現物給付になりますが、それだけでも一つの前進だと思うのですね。そして、先ほど長妻先生からお話がありましたように、少しでも高額療養費制度の患者負担が無くなるような形の前進をさせたいと思っております。また、今日は山本課長も来ておられますが、行き詰った難病対策要綱を改良するための努力をしていきたいと思っておりますので、皆さまと一緒にがんばりたいと思います。


Ⅳ 厚生労働省への要望

伊藤たてお代表理事から厚生労働省疾病対策課山本尚子課長に直接要望書が手渡され、会場から大きな拍手が起こりました。
■要望書(PDF)
厚生労働省疾病対策課 山本尚子課長のあいさつ
難病対策のあり方について議論されていますが骨子としてまとまっているのは、難病患者さんの長期かつ重度の身体的、経済的負担を社会全体で支える仕組みをつくるということ。そして、医療費助成については法制化も視野に入れて助成対象の希少・難治性疾患の範囲の拡大も含め、より公平、安定的な支援の仕組みの構築を目指すこと。そして、治療研究、医療体制、福祉サービス、就労支援などの総合的な施策の実施や支援の仕組みを目指していくことです。
しかし総論はこうなのですが、では中身はどうかと、具体的にどういった形になるかというのは、まさにこれからが正念場であります。そういった意味でJPAの方々の声を聞き、今日のお話を聞くと各党の先生方がたいへん応援してくださるということなので、私たち担当課としても事務的にきっちり仕事をつめて、次の世代につなげるような制度になればいいように思っております。今日の要望はがんばりますとしか言いようがないのですが、よろしくお願いします。


Ⅴ 会場からの訴え
会場から6名の方が、それぞれの思いを述べられました。



Ⅵ緊急決議
森副代表理事から緊急決議が提案され、拍手で採択されました。
緊  急  決  議

 私たちは、別紙「2012年度予算編成にむけての要望」もあわせて、とくに次のことを強く政府・国会に要望します。
  1. 高額な医療費負担によって経済的にも苦しんでいる患者や治療をうけられない患者を救うために、高額療養費限度額の大幅な引き下げをお願いします。
  2. 医療保険の給付率の3割負担を大幅に引き下げる努力をお願いします。
  3. 難病対策の拡充と対象疾患の拡大および地方自治体の超過負担を解消するために、平成24年度の難病対策予算の大幅な増額をお願いします。
 2011年12月19日
      高額療養費負担限度額の引き下げで難病対策の抜本改革を!
      日本難病・疾病団体協議会(JPA)緊急国会内集会

2.要請行動 
集会終了後、3班に分かれ各党の議員(厚生労働委員)の部屋を訪問、要望書を手渡し高額療養費の負担限度額引き下げ、難病対策の抜本改革を要請をしました。
  
                                                             (ホームページ担当 藤原)
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